「中山典之六段の特別講演」



                                                 中田良知




U.S.GO Congressで記念すべき中山先生の最後の講演があった。

何でも、奥様が病を得ておられるので、
先生のお留守のときに、何かあれば、取り返しが付かない。
そういう客観情勢に対応して、万感の思いで決断された。
したがって、恒例のアメリカも、チロルも、とりあえず休止状態に置く。

そういった通知を私にも戴いていた。したがって、

かく申す高野もぜひ参加したかったのですが、
諸般の事情でままならず、中田盟友の筆で、
中山六段の講演をお届けする次第です。

                                       高野圭介



中山先生

「トリ」の恒例行事

中山六段の講演は、
U.S.GO Congressを締めくくる「トリ」の恒例行事として、
毎回、最終日のバンケットの前にスケジュール化されている。
(中山六段を、欧米人は中山先生と呼んでいるので、
本レポートでも「先生」を使います。)


歓談しながら
楽しい食事です。


 右から通訳の沢田さん。  
 その左はテンコレ先生。 
    その左は日本棋院の  
      村上晶英初段。
その左は横浜の大塚さん。
左端は留学生の加藤さん。


(最終日のバンケットにて)

今回は、
中山先生の最後の講演になる
という情報が流れていたためもあり、
約250名の聴衆が特に用意された広いホールを埋め尽くした。

全員がスタンディングオペーションで迎えるなか、
通訳の沢田さん(サクラメント在住の三段)と共に、
先生はにこやかな笑顔で登壇された。


エピソード


元AGAチェアーマンの
歓迎と感謝の挨拶でスタートした。

先生は、まず、20数年前に某氏に
強引にコペンハーゲンへ連れていかれ、
そこで某氏は急用とかで帰ってしまい、
異国に一人取り残された
エピソードから話を始められた

対局に敗れるとナメラレルと思い、
ヨーロッパの腕自慢を相手に本気で指導碁を打たれた由。

対局後、多面打ちの碁を一つずつ手直しされた時には、
さすがに、連中も大いに驚いたそうである。


左・上の写真
掛け物の図案の中で、
ノースカロライナの形が碁盤になっています。
(本大会のシンボルマークとなっています)
(Main Playing会場にて)

今年で23年目
アメリカへ渡られたのは、U.S.GO Congressの始まる前年からなので、
今年で23年目になる。U.S.GO Congress皆勤者は、
おそらく一桁ではないかと思う。

昇段対局解説
講演の中で、先生の六段への昇段対局を、
大盤解説のボードに並べながら解説された。
(ただし、先生の絶妙な話術に聞き惚れていたので、この部分の報告はカット)

「会場風景


写真提供は
常連の松本 護さん
             
欧米人に「モテル」
その訳は

ところで、
改めて中山先生が欧米人に「モテル」理由を考えてみると、
まず、碁に対する真剣さであろう。
例えば、朝は7時頃からロビーで碁を並べておられる。

プレーヤーから質問があれば、
碁の真理を伝えようと丁寧に答えておられる。

また、指導碁を拝見していると、教え方が実にお上手である。
例えば、
相手のいい手に対しては、大きい声で”very good!”と褒められる。
逆に、ぬるい手でも、”bad”とはおっしゃらず”slow”程度である。

先生の気配り
さらに、
わざわざ時間を作って、スタッフ連中に指導碁を打たれる。

彼らは碁が大好きなのに、コングレスの運営で忙しくて
U.S.オープンにも出られないことに対する気配りである。
彼らの喜び様は大変なものであった。


弟子2000人
一声、欧米の弟子は2000人と言っておられるが、
先生の碁に取り組まれる姿を拝見していると納得がいった。

松本 護さん

奮闘中
                   
中山典之著書
最後に、
既にご承知の方も多いと思いますが、非常に面白いので、
下記の本の購入をお薦めします。

 中山典之著 「完本 実録囲碁講談」
岩波現代文庫 900円+税

中山典之創作
テンコレ先生創作の「囲碁いろはカルタ」
今回のコングレスにも、数十セット持参されたところ

先生の人気がカルタにも乗り移り、
ニューヨークの弟子達がほとんど全部を買ってくれて、
足りなくなったそうです。

(そりゃそうでしょう、そうこなくちゃ・・・・だって、あとはサミシイんだもん)